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空知英秋『銀魂―ぎんたま―』は『週刊少年ジャンプ』で連載中の人情コメディー漫画である。黒船ならぬ天人(宇宙人)が来襲し、突如価値観が変わってしまった町、江戸を舞台としたSF時代劇である。勤皇の志士や新選組など幕末の人物をモデルとしたキャラクターも登場する。下ネタも多い少年誌連載漫画だが、テレビアニメや映画化もされ、女性ファンも多い。

ギャグやバトル、人情など様々な要素が詰まっている点が『銀魂』の魅力である。少年マンガの枠組みを破壊するような強烈なギャグと、登場人物の筋を通すカッコいい言動が同居している。

『銀魂』は主人公・坂田銀時の魂という意味である。宇宙人の来襲で価値観が換わってしまった中でも、侍の魂を持ち続けた人物であることを示している。主人公も含め、『銀魂』のキャラクターは不器用だったり、普段は出鱈目だったりしても、意地にも似た信念を貫き通している。

最近の『銀魂』はバラガキ編、金魂編と長編が続いている。第44巻も後半はシリアス長編「一国傾城」編に突入する。ここではバラガキ編で登場した見廻組の佐々木異三郎と信女が再登場する。ボケが圧倒的なギャグ漫画の銀魂であるが、悪役には高杉を筆頭にギャグと無縁なキャラクターが多い。その中で佐々木はボケもこなせる貴重な存在であった。早期の再登場は喜ばしい。背表紙にも描かれた信女はバラガキ編では狂った人斬りであったが、ここではキャラクターに深みが増している。

この長編において幕府中枢の腐敗が明らかになる。銀時や桂と高杉の対立が思い出される。銀時や桂は現体制を破壊しようとする高杉と決別した。今の江戸にも守るべきものがあるためである。ところが、銀時にとっても現体制は戦うべき敵であった。高杉の問題意識は正しかった。但し、高杉のやり方は普通に暮らす市民を巻き込むことになる。だから銀時や桂が決別する意味があった。これに対して今回の銀時達は巨悪に対してピンポイントに戦いを挑む。だから高杉との対立と今回の戦いで主人公の論理に矛盾はない。

ここからは真の敵を見極めて戦うことの大切さを実感する。敵を間違えるとエネルギーを発散することになりかねない。たとえば秋葉原無差別殺傷事件の背景にある派遣切りなど格差社会への怒りには共感できる点もある。しかし、その行動は格差社会と戦うものにはならない。高杉の戦いにも似たようなものが感じられる。

秋葉原無差別殺傷事件に駆り立てたものは格差社会への絶望であった。高杉を駆り立てるものも恩師・吉田松陽を失った絶望である。虐げられた人々の絶望には大きく共感できるが、正しい敵との戦いにエネルギーを収斂させる必要がある。

これはマンション問題の被害者にも重要である。マンション問題では不動産業者という敵が明白に見えるが、それほど単純ではない。子会社の販売会社や管理会社、さらには地上げ屋、近隣対策屋、不動産業者と関係のあるマンション住民や管理会社と癒着した管理組合役員など被害者の関心を分散させる。

林田力には地上げブローカーの嫌がらせに対して、地上げブローカーを相手にせず、東急不動産に内容証明郵便を送付させることで停止させた経験がある(林田力「「景住ネット」第4回首都圏交流会、浅草で開催される」JANJAN 2010年1月25日)。真の敵と戦うことの重要性を『銀魂』から再認識した。
http://www.hayariki.net/hayariki.htm#17
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http://news.livedoor.com/article/detail/6399640/
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