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『機動戦士ガンダムUC』は第二次ネオジオン抗争後の宇宙世紀が舞台である。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から3年後の宇宙世紀0096年になる。ネオジオンの残党が抵抗を続けているが、テロリスト扱いである。大国同士の戦争はないものの、テロとの戦争を抱える現代に近似する。

宇宙世紀のガンダムシリーズに共通するが、UCの世界でも地球連邦は腐敗している。連邦上層部はネオジオンを人民の不満をそらす矛先として利用していると仄めかされている。これもアルカイダや911事件に対する陰謀論と重なる。

UCの敵勢力は地球連邦と真っ向から対決するジオン公国やネオジオンではなく、テロリスト扱いのネオジオン残党という点で弱小である。しかし、それを補ってあまりある魅力がUCにある。ラプラスの箱という宇宙世紀成立当初の謎が物語のバックボーンとなっているためである。地球連邦は成立当初から欺瞞を抱えていた。歴史的なスパンがあることで物語が重厚になる。

連邦の腐敗は一年戦争から一貫しているが、アムロ・レイは連邦の欺瞞を認識しつつも、結果的に連邦の歯車として行動している。ここに特殊日本的集団主義の支配する当時の日本という社会状況が反映されている。その後、日本社会にも個人主義が芽生えるようになってガンダムの主人公も変わった。

1990年に制作『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の主人公コウ・ウラキは地球連邦軍の正規兵であるが、連邦の卑劣さに苦悶する。1996年から制作された『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の主人公シロー・アマダも地球連邦軍の正規兵であるが、敵兵と心を通わせ、軍を抜ける。

反体制志向はアナザーガンダムでは一層顕著である。『機動戦士ガンダムSEED』では主人公キラ・ヤマトらは交戦中の二国の何れにも与せず、第三勢力になる。『機動戦士ガンダム00』では主人公らは最初から何れの国家にも属さない。

UCの主人公バナージ・リンクスは、最初は成り行き上、連邦軍に巻き込まれる。これは往年のガンダムシリーズと同じであるが、それに甘んじずにネオジオンと行動を共にする。腐った連邦の歯車で終わらない現代的な主人公である。敵を撃てないと情けない絶叫をする主人公は戦場ではあり得ないが、物語としては人間味があって好感が持てる。

ガンダム世界では連邦の腐敗と反比例するよりも、ジオン軍人は魅力的に描かれている。0083ではジオン軍人の武士道的な美学を描いたが、UCでは追い詰められたジオン残党の悲しさを描いている。(林田力)
http://hayariki.jakou.com/hayariki3.htm#37
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